中松屋の庭
穏やかな自分の庭
木々の間を通る風の音
地面で揺れる木の葉の影
優しい鳥のさえずり
流れる川のせせらぎ
里山や林の中で、あ〜ここで寝たら気持ちがいいだろうなあ と思うことがあります。
幼い頃、両親に連れて行ってもらったキャンプ場。外で食べたごはんのわくわく。心地の良い木陰と風にそよぐ木々の葉の音。おこした焚き火を見ながらゆっくり飲み物を飲んだ時の体の中心がほっと暖かくなる感覚。建物の外でだけ出会うことができる気持ちがあります。
朝おきて、外に出る。
庭に昨日咲いた花を、小さな花瓶に挿す。
一息、お茶をのみ、木陰で本を読む。
家の中でやっていることを、今日は外で、庭でする。
変わったことはしなくとも、小さな楽しみが生まれます。
遊ぶ声が外から聞こえる。庭に咲く花や実、
色ついた葉っぱ、小さな石、
子供はすぐに遊びを見つけます。
休みには火を起こす。外で食べるごはんも格別です。
一日が終わって、ひとくち。外でのむとおいしいものです。
家の中から見て楽しめるのはもちろん、
ふと、 今日、庭で何をしよう? と思うこと。
自分の居場所がある庭、それが中松屋の作りたい庭です。
庭造りをしていると、一番仲良くなるのは、子供たちです。
鳥や虫を嬉しそうに見つけ、毎日できてゆく庭を見て、
正直に話しかけてくれます。
剪定に伺うと、出していただいたお茶を飲みながら、家主さんと話に花を咲かせてしまうこともしばしばです。 散歩の途中に声をかけてくださる方もいらっしゃいます。それは、庭師ということだけではなく、庭に人がいることが一つのきっかけになっている気がしています。
庭は、プライベートな家の中の空間と、パブリックな外の空間との間の、
小さな緩衝帯のような、待合室のような、それぞれの気持ちに柔軟に合わせてくれる柔らかい場所なのかなと思うのです。
日常に感じた小さな 好い を忘れないよう、心がけて庭造りをしています。
雑木の庭
雑木の庭とは、季節の移り変わりを感じることができる庭です。
春、薄い緑色に芽吹き、固いつぼみから花が咲き、庭に色がついていきます。
夏、新緑が眩しく成長します。木陰も風が葉を揺らす音も涼しさをくれます。
秋、赤や黄色、オレンジ。様々に紅葉した雑木は目を楽しませてくれます。
冬、葉が落ち、美しい木立が現れます。寒い冬、太陽を遮ることもありません。
樹木本来の、そのままの美しさを感じて欲しい。
それが叶うのはどんな庭なのか。たどり着いたのが雑木の庭でした。
日本庭園にも、凛とした静かな美しさがあります。
ドライガーデンにも、太陽に似合う明るさがあります。
どんな庭も、良さがあり、人の数だけ 好い があります。
私はその中で、さりげなく寄り添う、優しい雑木の庭が好きです。
できるだけ壊すことのない、石や木を使った自然な庭、
時間を紡ぐことでより豊かになる雑木の庭が好きです。
庭を作る者として、植物にも真剣に向き合うことが仕事です。
人も植物も、居心地の良い場所であること。
無理をせず、優しくそこに住む人々に寄り添った場所、そんな自然な庭造りを目指しています。
植物図鑑を開くと、必ず、
どんな地域に分布しているか
どの環境(高山や里山といった)に生育しているか
が表記されていると思います。
植物にもそれぞれ適した環境があり、育った場所があります。
環境が適しているときは、植物の調子が良く、
病気にもなりにくく、害虫もつきにくくなります。
健康な庭は必要以上な手入れがいらず、管理しやすい庭となります。
玄関前の小さなスペースから、広くて大きな場所まで、それぞれのお庭に合わせて雑木のある空間をご提案しています。
雑木の庭 中松屋
松村 徹 / Toru Matumura
飯田市のエクステリアと植栽を行う親方。
松川町の日本庭園の造園、美しい剪定を行う親方。
松本市の新しい表現を追求しようと庭を造る親方。
そして、愛知県の自然に学び庭に再現しようと努力される親方。
4社、それぞれの魅力や技術を親方から学び、計12年の修行期間を経て、
2019年に 雑木の庭 中松屋 として独立しました。
90歳を過ぎてなお、山の集落に一人で元気に暮らす祖父の屋号を頂き、
中松屋 と名乗ることにしました。
里山を歩き、そこに育つ木々を日々観察した知識を大切に、
長野県 下伊那郡、南信州を中心に庭作りをしています。
雑木
の
庭
中
松
屋
Address 長野県下伊那郡高森町下市田2690-4
Tel 090-9669-7180
Fax 0265-35-1572
Mail niwa.nakamatuya.001@gmail.com